まず、穴の数を数えます。膨大な数なので大変です。数え間違いがないようダブルチェックを欠かさずに。縫い終わった後にズレているとすべてやり直しになります。すごいショックです。2度ほど経験したことがあります。
ファスナー部分の穴と本体部分の穴を数えると、ちょうど均等になるところがわかります。本体の裏面の縫い始めの穴と縫い終わりの穴が決定したら銀ペンで印をつけておきます。全部で四つの印が付いたかと思います。
糸の長さは縫う距離の4倍です。ですが、距離的にいっぺんに縫うことはできません。普通版聖書であれば二回に分けて、参照資料付聖書であれば3回に分けて縫いましょう。一度に縫おうとすると、糸が何度も穴を通過してこすれ、耐久性が落ちてしまいますし、長すぎる糸は扱いずらいです。
糸にロウを付けたら、縫い始めのところから返し縫を一度して縫っていきます。半分くらいのところで糸がなくなります。そうしたら写真のように長めにカットします。次に、新しい糸を縫い終わりより一つか二つ手前で縫い始めていきます。長めにカットされた糸は短くカットし、木工ボンドで目立たないよう固めます。
最後まで縫ったらまた返し縫をして、短くカット。糸の端を木工ボンドで固めます。これで完成になります。
写真がなくて申し訳ないです。ファスナー部の端に長方形の革を縫い付け、その革を本体と接着させることで、ファスナーの端と本体をくっつけます。程よい位置を見つけるのは経験が必要です。長すぎても短すぎても使いづらくなってしまいます。
接着部はやすりでよく毛羽だたせておきましょう。ゴムのりをつけ、よく乾かします。長方形の革は、ヌメ革ではうまく接着されずすぐに取れてしまいます。ヌメ革しかなければ糸で縫い付けましょう。ヌメ革ではなく、クロム鞣しの裏面がふさふさのものだとよく接着されます。当店ではバイソン革のコンビ鞣しを利用しています。無理な扱いをしない限りは取れることはありません。
形は出来上がりました。表紙を入れる革が余分にはみ出ているかと思いますので、それを革包丁でカットします。革を傷つけやすいので、よく切れる研ぎたての包丁を使い、なるべく力を使わずにカットします。コバ磨きについては、革のこだわりで紹介されているのでご覧ください。やすりで整え、トコノールを塗り、磨くのが基本になります。
やすりで3枚の革が1枚になるように削ります。あえて毛羽立たせてから、トコノールで固めます。
指でトコノールを塗ります。乾かないうちに磨くので、一面ずつです。
ヘチマで輝きが出るまで磨きます。少し摩擦熱が出るくらいに磨くと輝きます。
完成です。ファスナーにひもを付けるとオシャレになりますね。
写真は栃木レザーのブラウンです。
現在は取り扱っていません。